明けましておめでとうございます。今年も、グダグダと、時には歯切れよく書こうと思います。お付き合いください。

 賢明なる読者の皆さんには、「今頃、何をほざいているの? そんなこと五万年も前から知ってるわよ、アホ」と言われるかも知れません。でも、私も家人も、「六十余年も生き恥さらして、知らなかったぁ」だったのです。会社のスタッフに尋ねても、全員が「知りません」でした。だから、もしかして、お役にたてるかなと思いまして。

 ゆで卵の殻が、ツルンッと剥(む)けないことってありますよね。当社の社員は、愛別町の自然卵農園「あんふぁん」の卵を共同購入している。平飼い、自家製飼料。人工的な色素や遺伝子組み換え作物とは無縁な餌を食べている鶏が産んだ卵は、健康で、安心で、何より美味しい。ところが、産みたて、あまりに新鮮なせいか、ゆで卵にすると殻が剥けにくいことが少なくない。白身が殻に付着して剥けにくく、卵がデコボコになったりする。イライラする。気分が晴れない。「ああ、もういやだ」と人生をはかなんだりして。

 年末のある日、友人から聞いた話。「卵の尖っていない方に、空気の穴というのかな、剥くと丸く凹んでいるところがあるじゃない。そこをコツンってまな板なんかにぶつけて、ひびを入れるの。あまり強くぶつけると割れちゃうけど、軽く、カチッって感じ。そしてゆでると、面白いようにツルンッって剥けるよ」。試してみた。おっしゃる通り、何とも気持ちよく、ツルンッ、である。面白がって一ダースもゆで卵を作ってしまい…。

 ちなみに、「あんふぁん」農園を経営する村上謙一さん(64)は、本紙のコラム「コケコッコー便り」(第四週に掲載)の執筆者。毎回、養鶏の現場から食べ物にまつわる示唆に富む話題を届けてくれる。読者諸賢には蛇足だったか。枕はここまで。
 最近お会いする経営者から、外国人労働者についての話を聞く機会が多い。そのほとんどがベトナムからの技能実習生に助けられている、という話である。その一人、造園業の社長は「申し訳ないが、もう日本の若い人を使う気にならない。ちょっと注意すると、プイッと横を向く。いやいや仕事をしている態度…。ベトナムの実習生は、まるで違う。自分から積極的に仕事を覚えようとする。まじめ、前向き、それに礼儀正しい」。

 もう一人、三十数人を雇用する建設関連企業の社長は、「いまは五人のベトナム人実習生がいる。その中には運転免許を取得した子もいて、大きな戦力になっている。この春にはベトナムに出かけて、最低三人の実習生を受け入れる予定だ。私たちの業界は、間違いなくベトナム人なくして成り立たなくなっている」。

 ベトナム人実習生を受け入れている経営者が口をそろえるのは、「人件費の安さが魅力なのではない」ということ。月に一度は、車に乗せて買物に連れて行ったり、日本人の社員も交えて食事会をしたり、コミュニケーションをとる努力を重ねている。「三十年、四十年前まで、日本の会社がやっていた、家族的なつながりが大事だと考えている。一緒に“かせぐ”仲間だと思ってもらう、そんな気持ちで接している。ベトナム人には、それが通じると思う」と言う。

 昨年十二月十五日付朝日新聞朝刊の金融・経済面のコラム「経済気象台」に「外国人と共生する覚悟」と題する一文が載った。第一線で活躍する経営者や研究者ら社外執筆者が匿名で書くコラム。「山人」氏は、十二月八日に成立した改正出入国管理法について、「間違いなく大きな禍根を残す」と喝破する。

(工藤 稔)

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