菅義偉首相の長男が働く東北新社から一回の会食で七万円の接待を受けようが、NTTの会員制高級レストランで一本三万円のワインをおごられようが、小さなことではないか。「会食はしたが、接待はされていない」「通信事業に関する会話はなかったと記憶する」「総務省とは関わらないプライベートな会合」――ね、ちゃんと説明しているんだし、問題ないじゃない。

 一国の総理大臣が国会で、衆院調査局が調べただけで、百十八回も嘘の答弁を繰り返していたと明らかになっても、本人はぜーんぶ秘書のせいにして、国会議員を辞めるわけでもなく、大きな顔してテレビに出てきたりして。ガースー首相の後の返り咲きを狙っている、なんて噂も流れる。あの方に比べたら、会食も、接待も、高級パンのお土産も、些末なことよ。礼儀正しい、わきまえている国民ここにあり。美しい国ニッポン、バンザーイ。枕はここまで。

 過日、家人が自動車の免許証を失くしたらしいという話をして、「もう運転することもないから、捜さないわ」と言う。ふと更新時期が気になって、自分の免許証を見ると、「平成35年11月28日まで有効」とある。平成三十五年って、いつだ…。

 それで思い出した。何年か前、旭川市議会で安田佳正議員が、和歴(元号)と西暦の表記について取り上げて質問したことがあったと。確か、小紙の「議会見たまま」で読んだ。革新系の議員ではなく、自民党所属の安田議員の質疑だったから、強く記憶に残っていた。

 で、たまたま自宅に配達された、こうほう旭川市民「あさひばし」三月号を開いた。巻頭の「市長随想」の書き出しは、「平成23年3月11日に発生した東日本大震災から10年がたちました」。西川市長はこの「随想」を自分で書いているのだろうか。「地震、大津波、原発事故があったのは何年ですか?」と尋ねられて「平成二十三年です」と答える人は何割いるだろう。市長は、自由党・小沢一郎の政治塾から政治の世界に入った方、政治理念があるとすれば「保守」だろうから、日本固有の「元号」に強いこだわりがあるのかもしれない。

 現在は議長の安田議員が質問をしたのは二〇一八年九月の議会。天皇の退位で翌年四月で「平成」が終わると決まった時期だった。安田議員は、改元をきっかけに西暦表記に統一するか、和暦と西暦を併記するよう検討すべきではないか、と提案した。安田議長に話を聞いた。

 ――国は、自治体に任せるという姿勢。札幌市は二〇〇四年から、統計資料やパンフレットなどの市民向け刊行物は、西暦と和暦を併用している。私が質問をした後も、旭川市は公文書を含めて、ほとんどが和暦だけの表記を変えようとしない。第八次長期計画も「平成二十八年度~平成三十九年度」になっている。分かりにくくて、市民も困るよね。

 ――西暦はキリストの誕生に関りがあるから“政教分離に反する”と言うおかしな弁護士もいるらしいけど、せめて和暦と西暦を併用してもらわないと不便で仕方がない。議会から提案することも考えてみましょうか。

(工藤 稔)

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