旭川に招いて何回か講演をしていただいた藻谷浩介さん(57)が、三月二十七日付毎日新聞のコラムに、「『9条改正』は自滅の道」「言葉遊びと本当の自衛」の見出しで、憲法について書いている。地方の市町村の自立した経済・文化、つまり「まちづくり」がテーマの講演や著書で知られる氏が、珍しく憲法を語るのは…、と心して読んだ。以下、その「核」の部分を。


 ――ウクライナで大量殺人と生活の破壊が続いている。

 ――今の時代において戦争は、もはや大規模なテロ行為意外の何物でもない。唯一正当化できるのは、ウクライナがいま行っているような、先制攻撃に対する正当防衛としての戦いだけだ。

 ――「人命を守るために降参すべきだ」とは筆者は言わない。だが「正当防衛の権利を行使するからといって、個人の安全が増すわけではない」というのは、絶対的な現実である。

 ――そもそも憲法は、自国の政府権力を規制するものであり、どう改正しても外国をけん制はしない。改正せずとも日本には、攻撃を受けた際に正当防衛する権利があり、自衛のための武装もある。

 ――「『戦争の準備はある』と唱えれば国を守れる」というのは、「平和を唱えれば平和になる」というのと同じく、平和ボケの日本人の言霊(ことだま)信仰だろう。

 ――「正当防衛にとどまらず、自衛のための先制攻撃を認める」というのも、危ないからこそ憲法で禁じているのである。かつてのヒトラーも大日本帝国も「自衛」の名で先制攻撃に走り、そして滅びた。

 ――何のことはない、「戦争を国際紛争解決の手段としては使わない(正当防衛は除く)」という、日本の平和憲法を世界に広める努力こそ、言葉遊びではない本当の自衛行動である。

 「9条改正」は、日本の現実的な安全を損なう自滅の道ではないか。(引用終わり)

 プーチンの暴挙、ウクライナの惨禍に便乗して憲法改悪を叫ぶ輩がいる。惑わされるまいぞ――。枕はここまで。

 あさひかわ新聞三月十五日号、佐々木響子さんの連載「ママたちの子育て日誌 るんるんルン」を読んで、驚いた。佐々木さんは、自身の出産や辛い育児の経験を若いママたちの参考にしてもらいたいと活動している。

 この号のタイトルは「支所での手続きを知ってもらいたい」。出生届(総合庁舎一階・市民課)の提出時、児童手当や医療費助成(第二庁舎五階)、乳幼児世帯への指定ごみ袋支給(総合庁舎八階・廃棄物政策課)と移動を強いられるのは大変。七カ所ある「支所」に行けば、本庁舎に比べて移動距離も待ち時間も少なく、楽にほとんどの手続きができますよ、というアドバイスだ。

 記事の中に、指定ごみ袋支給について、次のような記述がある。

 ――この「ごみ袋」がありがたいが曲者(くせもの)です。段ボール一箱と何束かが袋に入れられたものを受け取るのですが、三年間分四百五十枚分の総量は五・四㎏もあります。新生児の体重より重たいのです。新生児を抱えて、手続きを済ませ、ごみ袋を持ち帰ることを想像してみてほしいです。

 びっくりした。どうして、こんな対応になるのかと思った。廃棄物政策課に取材した。担当者の話を聞くと、佐々木さんが一点、勘違いしていることがあった。転入してきた三歳未満の子どもがいる世帯は、ごみ袋の支給を受けるために八階の廃棄物政策課まで行かなければならないが、出生届を出した世帯は、その窓口でごみ袋が支給されるとのこと。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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