今春開学した旭川市立大学に二〇二六年に新設される学部・学科の名称が突然変更になるという話は、市立大学の開設に関わったヒトにとって、かなりショッキングなニュースだったようだ。前号の小欄にも、たくさんの反響が寄せられた。その一部を紹介しよう。

 二十日号の「あさひかわ新聞」の記事によると、市議会の総務常任委員会で十三日に行われた質疑で、真嶋隆英(共産党)の「ものづくり市民の会が要望していたデザイン思考と合致しているというが、確認は取ったのか」の質問に対して、総合政策部公立大学課の担当者は次のように答える。

 「今回、公立大学法人から示された基本計画の内容は、学びの中核が『デザイン思考発想や考え方で地域を牽引できる人材の養成』など基本的な考え方が引き継がれている。公立大学法人から、ものづくり市民の会会長に対して説明を行い、同意を得られたと伺っている」

 私立旭川大学が公立化して、ものづくり系の新学部を開設する、という一大プロジェクトの発端となり、市民運動をリードした、旭川に公立「ものづくり大学」の開設を目指す市民の会の伊藤友一会長に説明して同意を得られた、との答弁である。

 これは「虚偽答弁」ではないか、と怒っているのは、元市議会議員。

 ――伊藤さんに確認を取ったら、「学部・学科からデザインという言葉を取ることは納得できないと、担当者にメールで明確に伝えた」と言うんですよ。故意か、過誤かは別にして、担当者が議会で正反対の答弁をしている、これは明らかに虚偽答弁。大問題ですよ。

 大学設置に関わり、すでに退職した市の元幹部職員も怒っている。以下。

 ――おたくの記事によれば、「創造」という言葉には「デザイン」の要素が含まれているから、学部・学科の名称から消す、ということだが、何を言っているんだ。デザインという言葉の中に創造の意味が含まれる、というなら分かるよ。いやしくも市立大学の中で、こんなレベルの低い議論がなされるのは理解できない。
 いいかい? 議会では、学部名は「地域創造デザイン学部」とし、「ものづくりデザイン学科」と「地域社会デザイン学科」を置く、という前提で何年も議論した。市立大学ということは、市民の意見を聞き、市民と議論して、その経過を尊重する大学なんだ。私立とは違う。そうやって議論を積み重ねて決めたことをある日突然、一部の人が勝手に変えるなんて、あり得ない。
 変えたいなら、決めたときに同じ時間とプロセスを費やして、市民の理解を得なければいけない。こんな乱暴なやり方は、とてもデザイン思考とは言えない。デザインを理念に掲げる大学とは到底思えないよ。

 旭川に公立「ものづくり大学」の開設を目指す市民の会は、市立大学の新学部の学部・学科名の改称についての「緊急公開意見交換会」なる集会を準備中だ。「なぜ、『デザイン』『ものづくり』の言葉が消えたのか?!」を市総合政策部と旭川市立大学の関係者に説明を求めるとしている。
 開催日は未定だが、緊急公開意見交換会の趣意書には次のようにある。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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