今春、「私立」から「市立」になって開学した旭川市立大学(三上隆学長)が二〇二六年に開設を目指す新学部についての説明会が二十三日夕、同大キャンパスの北辰会館会議室で開かれた。五月、同大は、それまで市と市議会、市民団体の三者で合意していた新学部の名称や学科の内容などを大幅に変更する基本計画案を発表。十二年にわたって公立化と新学部開設を求める活動を続けてきた市民団体「旭川に公立『ものづくり大学』の開設を目指す市民の会」(ものづくり大学市民の会)が猛反発し、今津市長と市議会議長に、当初の計画に戻すよう要望書を提出するなどしている。ここまでの経緯は小紙も報道し、小欄でも書いた。

 説明会の内容については三面の記事を読んでもらうとして、問題の核心、つまり肝、背骨の部分について書こうと思う。
 説明会では、理事長の高瀬善朗・元旭川市副市長(元旭川振興公社社長)と三上学長(元北大副学長)がものづくり市民の会会員の質問に答えた。
 失礼だが、お二人とも市立旭川大学誕生の経緯については、ほとんど“無知”といえる。高瀬氏は当時、第三セクターの社長、三上氏は北大副学長を退官して名誉教授になった時期。市立大学の歴史的経過を知らないお二人に説明を求めること自体、無茶なのだ。

 改めて断わっておくが、旭川大学は国立でも、私立でもない、市立の大学である。市民が求め、市民の税金が投じられて、市民のために設立された大学である。ところが、大学が学部名やカリキュラムの大幅な変更について、公式な説明会を開催するのは、今回が初めてだ。しかも、基本的にものづくり市民の会の会員が対象で、市議会議員や一部関係者には案内があったようだが、広く市民に広報された形跡はない。

 報道機関には前々日の二十一日になって開催が知らされた。その「報道依頼」の文書もヘンテコリンな内容で、行事名に「旭川市立大学新学部に係る説明会について」とあり、「発信課」は総合政策部公立大学課。概要は「旭川市立大学から、新学部の内容について説明等」。「傍聴」は「会場許容の範囲内」とある。開催主体は旭川市なのか、旭川大学なのか、さっぱり分からない。対象も全くあいまい。一般市民には知らせたくない感、見え見え。つまり、限りなく「閉じられた形」の説明会である。

 小紙に「報道依頼」のファクシミリが流れてきた二十一日、顔見知りの読者からメールが届いた。

(工藤 稔)

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