放射性物質が大量放出されるかどうかの瀬戸際にある東電福島第一原発の新聞記事やテレビ画面を「だから、あれほど原発は危ないって言ったじゃない…」と複雑な気持ちで読んだり、見たりしている方が少なからずいらっしゃるだろう。「エコ」で「クリーン」と喧伝された原子力発電の正体は、ひとたびヒトの制御を受けない事態になった途端、壮大な「反エコ」の装置に変身し、土に水に空気に、そしてヒトを含むあらゆる生命を「汚辱」に巻き込み続ける化物だったのだ。

 この事故の一連の報道を見たり、読んだりしていると、「原発」に関わる人たちは、総じて、情報を隠したり、ごまかしたり、嘘に近いことを述べたり、そんな体質であることが分かる。例えば、読売新聞十八日朝刊の「共用プールにさらに6400本」の見出しの記事。

 ――東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっていることが、17日わかった。(略)

 東電によると、10日までは水温が30度に保たれていたが、11日の地震後、水温や水位も測定できなくなった。プールへの給水は自動的に行われていると見られるが、その水から熱をとるための冷却システムは故障しており、十分な冷却はできていないとみられる。爆発事故を起こした3号機、4号機に近いため周囲の放射線量が多く、状況を把握できていないという――

(工藤 稔)

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