全国紙は仕方ないと思う。だが、「北海道」を名乗っている新聞が、ここまで盛り上げる必要があるのだろうか。開業当日の二十二日夕刊の一面トップに「天突く 世界一 電波塔」の大見出し。大きな写真の下には、「併設商業施設にも行列」の中見出しだ。ご丁寧に周辺の案内地図まで付けて。社会面にも見開きで「日本技術の粋結集」「雲の切れ間歓声響く」「5千人『待ちに待った』」の大きな見出しで、根掘り葉掘りの記事が満載だ。

 翌日も一面にライトアップされた夜の塔の写真がドーン。第二社会面に「『天空』初日 感動の輪」「展望台 雲間から絶景」の見出しが躍る。頭ボリボリしちゃったのは、旭川版に載った「自慢の眺望 地元にも」「スカイツリーにも負けないよ」の記事。美瑛役場の「四季の塔」と旭川グランドホテルのレストラン・バー、嵐山展望台からの眺望を紹介している。苦笑いするしかない。

 北海道人として言わせてもらえば、断固として無視すべきだと思う。朝日が書こうが、読売がはしゃごうが、毎日が特集を組もうが、北海道新聞は一行も書かない。東京一極集中、首都圏一人勝ちに対する違和感、強い抵抗の姿勢を道民に示すんだ。ブームに煽られて東京に繰り出すのは田舎モンだべさ、と後ろ指を指すのだ。スカイツリーを見物に行ったなんて吹聴できない雰囲気を作っちゃえ。地方紙の雄として、それくらいの意地を見せてくれなくちゃあなぁ…と、ついブツブツおじさんになっちゃったスカイツリー開業のバカ騒ぎでありました。

 「いつも、編集長の直言、全く同じ考えだと思いながら読ませていただいてます。私は昨年、3月12日に宮城県から旭川に避難してきました。宮城県の仙南、原発から70㌔に自宅があります」とのメールが届いたのは、四月十九日だった。

(工藤 稔)

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