この世界一の発行部数を誇るとされる新聞は、私たちの国をどこに導こうとしているのだろう。米軍普天間飛行場の移設問題が争点となった沖縄県名護市長選挙で、同市辺野古への移設への反対を訴えた候補が圧勝した翌日の今月二十日、読売新聞は政治部次長の署名入り記事を載せた。見出しは「地方選を悪用するな」。

 次長は「地方の首長選挙で国政の是非を前面に掲げて争うことは、現行憲法下の地方自治の仕組みからみて、好ましいことではない」と書く。東京都知事選挙に細川護熙元首相が「脱原発」を掲げて出馬することと併せて、「日本の平和と安全に欠かせない在日米軍基地の確保も、あらゆる経済活動の基盤となるエネルギー源の確保も、すぐれて『国家としての存立』にかかわり、『全国的な視点に立って』行なわれるべきものだ」「地方の首長選を国政の是非を問う機会――いわゆる『住民投票』のように発想するのも間違いだ」「地方の首長選で国政の課題を争点化することはなじまないし、まして選挙の結果で、国政を揺るがすようなことがあってはならない」と。

 何をかいわんや、である。ジュゴンが棲む美しい珊瑚の海が埋め立てられ、百機以上のオスプレイが爆音を轟かせて飛び回る基地が、自分たちが暮らす町に造られる、そのことを争点に据えずに、首長候補たちは何をどのように主張し合えと、この政治部次長は言うのだろう。

 東日本大震災から三年も経とうとしている現在も、溢れ続ける汚染水の管理さえままならず、今もなお十万人以上が放射能汚染を逃れて流浪せざるを得ない状況が続く中で、何事もなかったかのように「原発再稼動」に向けて着々と地ならしが進む、そのことの是非を電力の最大の消費地、東京都民が判断することの何が、この新聞は「好ましくない」と言い張るのか。

(工藤 稔)

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